ニキビ
ニキビは、何らかの理由で毛穴に皮脂が詰まり溜まると、その毛穴にアクネ菌が入り込み増殖し、毛穴内感染を引き起こすことで発生します。これが毛穴の感染症となり、ニキビができる原因となります。
ニキビの原因は、角質の乱れをはじめとした肌荒れや、体調やホルモンの影響による皮脂の性状の変化、さらに肌の防御能の低下などが関係しています。これらが重なることで、ニキビが発生しやすくなります。
なかなか治らず、繰り返すニキビとは
ニキビができると、毛穴内で感染が起こり、毛穴内の立体構造が乱れることがあります。膿(ウミ)が出る際に出血を伴うことが多いですが、これは毛穴内の壁が損傷している、つまり「毛穴内がケガをした」ことを示しています。
ケガをした部位が変形するように、ニキビができた毛穴は変形していることになります。この変形が原因で、ニキビ跡がクレーターのような形で残ることがあるのです。さらに、毛穴の中でこの「変形」が生じ、皮脂などが溜まりやすいデッドスペースができると、ニキビが繰り返し発生しやすくなります。
何度も毛穴内感染が起こり、皮脂が溜まることが当たり前になった毛穴では、ニキビが繰り返し発生してしまいます。このような毛穴は、ニキビを再発させやすい状態になっています。
ニキビの種類
- 正常な皮膚
- ニキビ菌(アクネ菌)は、正常な皮膚の上にも存在していますが、正常な皮膚上では繁殖して炎症を起こすことはありません。皮脂腺で作られた皮脂は毛穴から皮膚表面に出て、表面を弱酸性に保つことで、細菌の繁殖を防ぎつつ、保湿の役割も果たしています。
正常な皮膚は角質層が上手に代謝を行っており、余分な皮脂は毛穴に残ることなく、しっかりと外に排出されます。このバランスが保たれていると、皮膚は健康を維持し、炎症やニキビの発生を防ぐことができます。
- ニキビの前段階 微小面皰
- 肉眼的には見ることのできない微小面皰は、ニキビの前段階として発生します。主に男性ホルモンの影響により、皮脂腺が活性化され、皮脂分泌が過剰になります。この過剰な皮脂に加えて、毛包漏斗部で角化が進むと、毛包内に皮脂が溜まり、皮膚の常在菌(アクネ菌など)が増殖します。
毛穴の出口近くで角化異常が起こると、毛穴が塞がれてしまい、皮脂が外に排出されなくなり、どんどん溜まっていきます。この状態がニキビの発症へと繋がります。
- ニキビの初期段階(炎症のないニキビ) 閉鎖面皰(白ニキビ)
- 毛穴が角栓によって閉じ、皮脂が詰まった状態です。この状態では、比較的皮脂が溜まりにくい頬などの表面に、白いポツポツとした膨らみが現れます。毛包が広がり、アクネ桿菌が増え始め、炎症が進行することがあります。これがニキビの前兆となり、放置すると炎症を伴うニキビへと発展することがあるため、早期の対処が大切です。
- ニキビの初期段階(炎症のないニキビ) 開放面皰(黒ニキビ)
- 白ニキビの毛穴が開き、そこに酸化した皮脂や古い角質が溜まると、黒ニキビが形成されます。さらに、メラニン色素が加わることで、黒く見える状態になります。このタイプのニキビは、比較的代謝が活発で、皮脂が溜まりやすい鼻や額にできやすいです。毛穴が開き、皮脂や角質が蓄積することで、炎症を引き起こし、ニキビが悪化する可能性があるため、適切なケアが必要です。
- 悪化したニキビ(炎症を起こしたニキビ) 紅色丘疹(赤ニキビ)
- 白ニキビが悪化すると、毛穴に溜まった皮脂に細菌が繁殖し、炎症を引き起こします。このため、ニキビの表面が赤く腫れ、毛穴が塞がれていた部分が皮脂に押し出されて広がり、中央に白い芯が見えるようになります。この状態は、膿(ウミ)が溜まることもあり、膿ニキビとも呼ばれます。早期に適切な対処をしないと、炎症がひどくなり、ニキビ跡が残ることがあります。
- さらに悪化したニキビ(化膿したニキビ) 膿疱(黄ニキビ)
- 赤ニキビがさらに悪化すると、炎症が激しくなり、てっぺんに黄色い膿が現れる状態になります。外に排出できない皮脂と膿が皮脂腺を破り、真皮層や皮下組織にもダメージを与えるため、この段階ではニキビ跡が残るリスクが高くなります。
ニキビを防ぐセルフケア
- 正しい洗顔方法でやさしく丁寧に洗う
- 清潔な手でクレンジングや予洗いを行い、肌表面に付着した汚れを優しく落とします。肌をこすらないように注意しながら、メイクと馴染ませていきます。肌の潤いを保つため、皮脂を落としすぎないようオイルタイプは避け、34℃~36℃程度のぬるま湯で洗いましょう。
洗顔時は、刺激の少ない洗顔料をしっかり泡立て、泡をクッションにして優しく洗います。髪の生え際やフェイスラインもしっかりとすすぎ、清潔なタオルで肌を軽く押さえて水分を拭き取ります。1日に何度も洗顔したり、スクラブ入り洗顔料でゴシゴシ洗うことは避けましょう。
- 保湿を重視したスキンケア
- 思春期のニキビとは異なり、大人のニキビは乾燥によって肌のバリア機能が低下することでも起こりやすくなります。洗顔後は、丁寧に保湿ケアを行うことが大切です。
保湿を行わず肌が乾燥すると、ターンオーバーが乱れ、古い角質が肌に残って毛穴が詰まりやすくなります。さらに、肌のバリア機能が低下することで、ニキビや肌荒れなどの肌トラブルが発生しやすくなります。
化粧品は清潔な手のひらに広げ、ハンドプレスで肌にたっぷりとしみ込ませるようにしましょう。肌をこすったり、ニキビができやすい部分を刺激したりしないよう、優しくケアすることが重要です。
- 1年を通して十分な紫外線対策
- 紫外線を浴びることで、肌は皮膚内部を守るために角質が厚くなり、その結果毛穴が詰まりやすくなります。これがニキビのできやすい肌を作る原因となります。また、紫外線によって活性酸素が大量に発生し、炎症が起こりやすくなるため、ニキビが悪化することがあります。さらに、紫外線は皮脂を酸化させ、ニキビをさらに悪化させることもあります。
日焼け止めを使用するだけでなく、帽子や日傘、サングラスなどを上手に活用して、紫外線から肌を守りましょう。
- バランスの良い食生活
- 毎日の食事は内側からのニキビケアに繋がります。ニキビを防ぐためには、以下の栄養素を積極的に摂取しましょう。
・タンパク質:皮膚の材料となり、健康な肌を維持します。
・ビタミンB群・ビタミンA:ターンオーバーを促進し、皮脂の分泌量をコントロールします。
・ビタミンC:皮膚の免疫機能を強化し、炎症を抑えます。
・ビタミンE:血行を促進し、肌の健康を支えます。
・食物繊維:便秘を改善し、腸内環境を整えます。
逆に、糖分や動物性脂肪が多い食べ物は皮脂分泌を増加させ、ニキビを悪化させる可能性があるため、できるだけ控えましょう。また、規則正しい食事を心がけ、ホルモンバランスが乱れないようにすることも大切です。
- 質の良い睡眠
- 肌のターンオーバーは主に睡眠中に活発化します。正常なターンオーバーの周期は一般的に28日~45日で個人差がありますが、寝不足が続くとそのサイクルが遅くなり、古くなった角質が肌表面に残り、ニキビや肌荒れを引き起こしやすくなります。
十分な睡眠をとることで、ホルモンバランスや肌のターンオーバーが正常になり、肌が健康的に保たれます。特に大切なのは、入眠から3時間の間に訪れるノンレム睡眠(深い眠り)です。この深い眠りの間に成長ホルモンが分泌され、肌の再生活動が活発になります。
深い眠りを得るために、毎日決まった時間に自然に寝ることを心がけましょう。ベッドに入る1~2時間前に入浴して体温を上げ、寝る直前の飲食やテレビ、スマホの使用を控えるなどの工夫もオススメです。
- 上手なストレス対策
- ストレスは、大人のニキビの大敵です。過剰なストレスがかかると、ホルモンバランスが崩れ、黄体ホルモンの活動が優位になります。黄体ホルモンは、肌や髪の乾燥や血液循環の悪化を引き起こし、結果的にニキビの原因となる皮脂を過剰に分泌させます。
また、ストレスが影響すると、交感神経と副交感神経のバランスが崩れ、自律神経が乱れ、ホルモンの分泌に変化が生じます。これが皮脂の分泌量を増加させたり、皮脂の成分を変化させる原因となります。
さらに、ストレスが続くことでビタミンやミネラルの消費が増加し、結果的にビタミン・ミネラル不足となり、体調や肌の不調が顕著に現れやすくなります。この影響で、肌荒れやニキビができやすくなります。
ニキビ予防のためには、日常生活でリラックス法やストレス解消法を取り入れることが大切です。自分に合った方法を見つけて、ストレスをうまく解消しましょう。
ニキビの治療方法
ニキビの治療方法
ニキビは、90%以上の人が一度は経験する一般的な疾患ですが、実際に医療機関を受診するのは全体の12%に過ぎません。ニキビは放置しても自然に治ることはなく、放置すると悪化し、ニキビ跡が残る可能性もあります。
ニキビは、外見への影響だけでなく、感情面や生活の質にも大きな影響を与えるため、早期の対処が重要です。正しい治療を行い、現在のニキビを治すだけでなく、ニキビが再発しない肌質へと根本的に改善していくことが大切です。
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ベビーピール
ケミカルピーリングは、肌のターンオーバーを正常化し、新しい肌細胞の産生を促進する治療法です。古くなった角質を除去することで、皮脂の詰まりを改善し、炎症の原因となるアクネ菌の増殖を防ぎます。これにより、ニキビのできにくい健康な肌を作り上げます。
主な効果は以下の通りです。
・過剰な皮脂分泌の抑制
・毛穴の詰まりの改善
・アクネ菌の殺菌
ケミカルピーリングは、ニキビ予防にとても効果的な治療法です。 -
エレクトロポレーション
イオン導入は、特殊な電気パルスを皮膚表面に与えて、一時的に細胞間に隙間を作り、肌の深部まで有効成分を浸透させる治療法です。この治療は、ニキビの炎症や皮脂の過剰分泌、そして崩れた毛穴構造の改善を促進します。これにより、今あるニキビを鎮めるだけでなく、毛穴を正常化し、ニキビのできにくい健康的な肌を作り上げます。
主な効果は以下の通りです。
・ニキビの炎症の沈静化
・過剰な皮脂分泌の抑制
・毛穴構造の改善
イオン導入は、ニキビの予防と治療に非常に効果的な方法です。 -
ジェネシス
レーザーピーリングは、古くなった角質を取り除き、皮脂の詰まりを改善して毛穴を正常化することで、ニキビのできにくい肌を作ります。さらに、ニキビの炎症を鎮静化し、ターンオーバーを正常化する効果もあります。また、真皮上層にエネルギーを届けることにより、コラーゲンやエラスチンの産生を促進し、肌のハリと弾力を高めます。
主な効果は以下の通りです。
・毛穴の詰まりの改善
・ニキビの炎症の沈静化、赤みの改善
・コラーゲンの生成促進
この治療は、ニキビの予防と改善、さらには肌の質感向上にも非常に効果的です。 -
炭酸ガス(CO2)レーザー
炭酸ガスレーザーは、最小限の穴を皮膚にあけることで、深層に溜まった膿を排出させる効果的な治療法です。この方法により、毛穴に詰まった膿や余分な皮脂を溶かしながら、殺菌効果で細菌にもアプローチします。膿や皮脂が排出されることで、炎症が治まり、ニキビが改善していきます。
レーザーで開けた穴は傷跡を残さず、1〜2日以内にきれいに塞がるため、治療後の回復が早いのが特徴です。
特に、大きな赤ニキビが多発している場合や、隣接した複数の毛穴が化膿して融合したような大きな嚢腫の場合には、皮脂腺ごと焼灼することで、より早く治癒させることができます。 -
外用薬/トレチノイン
トレチノイン(レチノイン酸)は、ビタミンAの誘導体であり、欧米ではニキビ治療の第一選択薬として広く使用されています。
トレチノインは、以下のような作用でニキビの改善を促します。
1.皮脂腺の機能低下: 過剰になった皮脂腺を萎縮させ、皮脂の分泌を抑制します。これにより、皮脂の過剰分泌が原因のニキビの発生を抑えます。
2.ターンオーバーの促進: 皮膚のターンオーバーを正常化し、毛穴に詰まっている角栓を剥がれやすくします。これによって、毛穴の詰まりを改善し、ニキビの予防になります。
トレチノインは、ニキビだけでなく、しわや肌の質感改善にも有効な成分として知られていますが、使用には注意が必要で、医師の指導のもとで使用することが推奨されます。 -
内服薬、サプリメント
過剰な皮脂分泌を抑えて新たなニキビを予防するためには、「ビタミンB1」「ビタミンB2」「ビタミンB6」を摂取することが効果的です。また、色素沈着や皮脂の過剰分泌を防ぎ、炎症を抑えるためには「ビタミンC」が役立ちます。さらに、ニキビの炎症を鎮める「トラネキサム酸」などの成分を内側からしっかりと取り入れることが重要です。
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高濃度点滴
ニキビの原因となる過剰な皮脂分泌を抑え、肌のターンオーバーを正常化するためには、「ビタミンC」や「ビタミンB群」が有効です。さらに、ニキビの炎症を抑える「トラネキサム酸」や、高い抗酸化作用を持つ「高濃度ビタミンC」も効果的です。また、「プラセンタ」はホルモンバランスや自律神経のバランスを整えることで、皮脂の過剰分泌を防ぎます。