ニキビ跡
ニキビ跡とは
ニキビ跡とは、ニキビの炎症によって周囲の組織が損傷し、瘢痕(傷痕)として残る状態を指します。
ニキビ跡はその状態によって、色素沈着、クレーター、しこり、ケロイドの4種類に分類されます。
ニキビ跡の種類
- ニキビ跡の〈赤み・色素沈着〉
- ニキビ跡の〈色素沈着〉は、炎症によるダメージが原因で、茶色や紫色のくすみとして肌に残る状態です。ニキビは毛穴に皮脂が詰まり、その中で細菌が増殖し炎症を引き起こすことで、肌にダメージを与えます。炎症が起こると、皮膚はメラニン色素を大量に生成し、その結果、ニキビが治った後にシミのような色素沈着が残ることが多くなります。
- 紫~赤黒い色素沈着
- ニキビ跡の紫がかった色素沈着は、ヘモグロビンによるものです。ニキビが治った後、約半年間は炎症の跡が残ることがありますが、それ以上経過しても赤みが消えない場合、表皮から真皮までのダメージが原因で、下にある筋肉や血管が透けて見える状態です。ニキビの炎症がひどくなると、肌の真皮が傷つき、毛細血管が破壊されて血液が染み込むことがあります。ヘモグロビンは酸素を失うと赤みを失い、そのため血液が染み込んだ部分が紫や赤黒い色素沈着として肌に残ります。
- 茶色い色素沈着
- ニキビ跡が茶色いシミのようになる色素沈着の原因は、メラニン色素です。ニキビによる炎症が起きると、活性酸素が発生し、炎症を鎮める一方で、皮膚を守るためにメラニン色素が大量に生成されます。ニキビが治ると、その跡がシミのように色素沈着することが多くなります。特に、ニキビが重症化して皮膚の奥まで傷つくと、メラニンが新陳代謝が遅い真皮層に沈着し、治療が難しいシミが残ることがあります。
- ニキビ跡の〈クレーター〉
- ニキビ跡の〈クレーター〉は、ニキビが繰り返すことで毛穴内での炎症が進行し、毛穴の構造が崩れて皮膚が凹んでしまう状態です。アクネ菌が増殖し、赤ニキビができると、毛穴やその周辺で炎症が発生し、周囲の組織が破壊され始めます。炎症を抑えるため、白血球が皮膚細胞を破壊し、炎症の広がりを防ごうとします。これが真皮層で起こると、肌に凹みが生じ、ニキビ跡がクレーター状に残ります。真皮層にはターンオーバーがないため、破壊された真皮層のダメージはそのままクレーターとして残ります。これまではクレーター状態のニキビ跡の治療が難しいとされていましたが、現在では進化したレーザー技術により、安全に真皮層までアプローチし、適切な治療でニキビ跡のクレーターを改善することが可能になりました。
- 毛包周囲瘢痕
- 毛包周囲瘢痕とは、毛穴が広がるタイプのニキビ跡で、毛穴周囲に瘢痕が形成されることで毛穴の収縮機能が失われ、拡大したままの状態が続くことを指します。特に浅層に瘢痕化が見られるため、この部分をターゲットにした治療が効果的です。
- 浅斑状瘢痕
- 浅斑状瘢痕とは、浅く広がったクレーターのようなタイプのニキビ跡です。主に真皮中間層に瘢痕が形成され、皮膚が薄い女性に多く見られる特徴的なニキビ跡です。
- 深真皮瘢痕
- 深真皮瘢痕は、深くて広がったタイプのニキビ跡で、周囲の正常な皮膚と明確に境界ができ、光の乱反射により非常に目立ちます。このタイプのニキビ跡は、真皮深層に瘢痕が存在することが多く、皮膚が厚い男性や、特にニキビが大きくなるタイプの方に発生しやすいです。
- 脂肪組織の萎縮
- 脂肪萎縮型のニキビ跡は、ニキビの炎症が脂肪層にまで達し、線維化を引き起こして収縮することで、皮膚が陥没し大きく凹んだ状態になります。このタイプのニキビ跡では、皮膚の瘢痕化と脂肪層の瘢痕化が両方確認でき、元のニキビ跡の影響が皮膚の深部にも及んでいるのが特徴です。
- アイスピックタイプ
- アイスピック型のニキビ跡は、開口部が2mm以下と非常に狭く、真皮層よりさらに深く達するタイプです。そのため、通常のレーザー治療では真皮層の再構築が難しく、瘢痕部分を直接取り除くような照射方法が必要です。
- ローリングタイプ
- ローリングタイプのニキビ跡は、真皮が筋膜に癒着している状態で、開口部が4mm以上と広く、緩やかな陥凹が丘のようにうねり、平らな部分が少ない特徴があります。
- ボックスタイプ
- ボックスタイプのニキビ跡は、陥没しており、底面が平坦で円形の形状をしています。このタイプには、浅いボックスタイプと深いボックスタイプがあります。
ニキビ跡の治療方法
ニキビ跡の治療方法
ニキビ跡を治すには以下の方法がおすすめです。
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フォトBBL
ニキビ跡の色素沈着改善に効果的な光治療です。
ニキビ跡は炎症によりメラノサイトが活性化しているため、強いレーザーを使用すると逆にメラノサイトをさらに刺激し、ニキビ跡が濃くなる恐れがあります。しかし、IPL(光治療)は表皮の色素を吸収する一方で、メラノサイトには刺激を与えないため、ニキビ跡が悪化する心配なく、徐々に改善が期待できます。 -
ジュベルック
ジュベルックは、肌の自己再生力を活用してコラーゲン生成を促進する次世代の注入剤です。
肌の深層に働きかけ、コラーゲン生成を活性化させることで、ニキビ跡周辺の肌組織が新たに生まれ変わり、凹んだ部分を自然に引き上げて滑らかな肌表面を実現します。
繰り返し施術を行うことで、ニキビ跡が目立たなくなる効果が期待できます。 -
ダーマペン4
ニキビ跡のクレーターは、ニキビの炎症によって真皮層が損傷し、皮膚の再生がうまく行われなくなった状態です。ダメージが長期間続くと、新しい皮膚が作られなくなり、回復が遅れてしまいます。
ダーマペン4は、肌に微細な穴を多数開けることで、肌の自然な再生力を高め、コラーゲンやエラスチンの生成を促進します。これにより、皮膚細胞の再生をサポートし、ニキビ跡のクレーターの凹みを改善します。 -
ジェネシス
ニキビ跡の赤みや色素沈着は、メラニン色素やヘモグロビンが原因となります。ジェネシスのレーザーは、特にヘモグロビンの赤色素に働きかけるため、ニキビ跡の赤みを効果的に改善します。
さらに、ジェネシスはレーザーピーリング効果を持ち、古い角質を除去してターンオーバーを正常化させ、ニキビ跡の色素を排出する働きもあります。
ニキビ跡のクレーターは、ニキビの炎症が真皮層にまで達し、その結果、皮膚の再生がうまく行われなくなった状態です。長期間ダメージが続くと、皮膚の回復が遅れ、新しい皮膚が作られにくくなります。
ジェネシスは、真皮上層に熱エネルギーを届けることで、コラーゲンやエラスチンの生成を促進します。これにより、皮膚細胞の再生をサポートし、ニキビ跡のクレーターの凹みを改善していきます。 -
ケミカルピーリング
弱い酸を使用して古い角質や表皮、毛穴の汚れを除去し、肌のターンオーバーを正常化させる治療です。これにより、新しい肌細胞の生成が促進されます。
沈着したメラニン色素を排出し、シミやくすみを改善します。肌本来の透明感とキメの整った瑞々しい美しさを取り戻すための基本的な美肌治療です。 -
エレクトロポレーション
特殊な電気パルスを使用して一時的に細胞間に隙間を作り、肌の深層まで有効成分をダイレクトに浸透させる治療法です。
イオン導入の20倍の浸透力で、ニキビやニキビ跡に有効な成分を肌の奥深くまで届け、ニキビの炎症を抑え、皮脂の過剰分泌や崩れた毛穴構造の改善に高い効果を発揮します。 -
高濃度点滴
ニキビの原因となる皮脂の過剰分泌を抑え、肌のターンオーバーを正常化する「ビタミンC」や「ビタミンB群」、ニキビの炎症を抑える「トラネキサム酸」、高い抗酸化作用を持つ「高濃度ビタミンC」は、ニキビの改善と予防に効果的です。さらに、「プラセンタ」はホルモンバランスや自律神経を整え、皮脂の過剰分泌を防ぐ働きがあります。
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外用薬/ハイドロキノン、トレチノイン
ハイドロキノンは「肌の漂白剤」として知られ、強力な漂白作用でシミの原因となるメラニンやメラノサイトを薄くします。既存のシミを改善し、今後のシミの発生も予防します。トレチノインはビタミンA誘導体で、古い角質を取り除き、表皮の細胞を速やかに分裂させて新しい肌の再生を促進します。また、皮脂分泌の抑制やコラーゲンの増加にも効果があります。これらを併用することで、シミやくすみをより早く改善できます。